美和神社で十二月十六日に越年祭の神事がおこなわれる。明治十四年(一八八一)の「氏神御年越記録」によると、「古くからおこなわれ数百年に及ぶ。一時中廃絶するに至ったが、天保(てんぽう)七年(一八三六)に再興し今日に至る。当日、神殿で本年の五穀豊穣に感謝し粥(かゆ)を炊き飢者を賑し、翌年の百穀豊熟を願う年越祭で古くからの伝統に基くもの」であった。現在、境内に九六社の石祠(いしほこら)があり、百末社といわれている。この石祠は、氏子の家にあったもので、明治政府の方針で美和神社に持ち寄らせたものであるという。石祠の祭神は全国の一の宮、金比羅社、八幡社、天神社などである。現在の神事は、これら百末社の石祠の神々に対して祭殿で御膳を捧げ感謝の意を尽くし、それぞれの御神体を新たにする。御饌(おそなえもの)は、皿(大根・人参・なます)、平(長芋・蓮根・椎茸・人参・田作り)、汁(青菜、豆腐)、飯が捧げられる。