桐原のわら駒(こま)

351 ~ 351

一〇〇〇年も昔の平安時代に桐原(きりはら)牧のあったところで、付近一帯の牧場からは、良馬がたくさん産まれ、京の都へ献上されたと伝えられ、応和(おうわ)元年(九六一)「信濃桐原牧ノ駒ヒキ」の記録が残されている。今も毎年三月八日の春祭りには、藁馬(わらうま)を作って神前に捧げ、豊作と子孫の繁栄、家内安全を祈る神事がおこなわれている。藁馬はくじ引きで当たる。約二百年前の享和(きょうわ)二年(一八〇二)の古文書に「往古ヨリ家毎ニ藁ニテ馬ヲ作り供物ヲ背負ワセ神前ニ供へ候」とある。たとえば昭和四十九年(一九七四)の場合でも、一四〇〇本も用意されたくじも足りないくらいに終わってしまった。年々盛んになった祭りの模様は、信越放送テレビの全国ネツトで実況中継された。


写真12 桐原のわら駒で有名な桐原牧神社