一 立地

360 ~ 361

 凹宇形(おうじがた)にへこんだ市の東北端。古里(ふるさと)地区はそのへこみの底部に、東に伸びる長沼(ながぬま)、西に突き出る若槻(わかつき)の両地区に抱かれるように位置している。北は上水内(かみみのち)郡豊野(とよの)町の南郷(みなみごう)地区、南は朝陽(あさひ)地区、南東は柳原地区に接している。面積五・六七平方キロメートル、東西二・三キロメートル、南北三・一キロメートル。標高三四三メートル(古里小学校)。

 地区を二分するように南西から北東に浅川が流れている。この浅川とその支流の新田(しんでん)川・駒沢(こまざわ)川・田子(たこ)川は、上流での侵食作用が盛んで、その土砂(どしゃ)が当地区に堆積(たいせき)して天井川(てんじょうがわ)となっている。昭和九年(一九三四)の大改修以前は、川底が地上三メートルを超す箇所もあった。

 地区の西部は、これらの河川が氾濫を繰りかえしながら形成してきた緩やかな扇状地である。

 いっぽう、東富竹(ひがしとみたけ)、金箱(かねばこ)、下駒沢(しもこまざわ)、上駒沢(かみこまざわ)の東部は、千曲川の氾濫原であり、今のみごとな美田(びでん)地帯も昭和十九年の土地改良工事が完成する以前は、低湿などぶ田であった。

 集落は、そのほとんどがこの緩やかな扇状地の扇端(せんたん)と氾濫原との境界付近に作られた塊状(かいじょう)集落であった。最近住宅が増加してその面影はわからなくなったが、その特徴である道幅が狭く屈折が多いことが、現在では交通上の支障点となっている。

 昭和四十年代以後急速に宅地化が進み、戸口が急増し、地区の性格も純農村から近郊住宅地へと変化してきている。また、現在進行中の浅川の天井川解消工事の完成、三才の一部が含まれる長野北新都市開発整備事業の進展などにより、地域のいっそうの発展が期待されている。


写真1 天井川の状況(弘誓(ぐぜ)橋より下流方向)