冨建千引神社大神楽

399 ~ 399

由来については不詳であるが、現存している古い長持の蓋(ふた)の内側に、大神楽(だいかぐら)奉納道具の目録が記されていて、元禄(げんろく)元年(一六八八)の年号が見られる。伊勢大神楽獅子舞系統に属するもので、楽曲は少ないが、つぎのような特色をもっている。

①神社に行列が繰りこむとき、猿田彦がしめ縄を切ること。獅子木鑓(きやり)が勇壮に歌われること。②本殿前において、狩衣(かりぎぬ)と白袴(しらばかま)をつけた舞人が鈴と御幣(おんべ)をもっておごそかに獅子の舞を奉納し、つづいて祭神の建御名方命(たけみなかたのみこと)の勇壮な剣(つるぎ)の舞が奉納されることである。この大神楽も一時期途絶えそうになったが、心ある若者に支えられ、昭和五十六年(一九八一)には冨建千引(とみたけちびき)神社大神楽保存会が結成されて、次代へ引き継がれる態勢が確立している。


写真11 冨建千引神社の大神楽(神楽用具蓋裏(ふたうら)の文字と猿田彦の綱切り)(冨建千引神社蔵)