お伊勢参り

432 ~ 433

柳原には、水害の危険性のあるところには「伊勢地」とか「伊勢社跡」がある。伊勢神宮の神威によって水害を防ぐために祀(まつ)っていたところだという。今は伊勢社は各区の神社に合祀(ごうし)されている。柳原地区は伊勢信仰にあつく、近年まで「伊勢代参」といって講をつくって代表者による「お伊勢参り」があった。小島村では文政(ぶんせい)五年(一八二二)と九年に村の田圃(たんぼ)を買って「伊勢田」とし、それを貸して小作料(一一俵二斗)をとり、それを代参費用にあてている。

 天明(てんめい)六年(一七八六)五月九日、伊勢の御師(おし)荒木田久老(ひさおゆ)が小島村の清水与右衛門を訪ねたとき、村中のものが残らず出迎えて盃をかわし、そば切りで歓迎し、夜は高張提灯(ちょうちん)を出して夜警をしたという。文政九年(一八二六)の講中の心得に「御代参ノ儀甚ダ重キ御儀ニ御座候」とし「村中の者が仲良く助け合っていれば、大神の御神慮にかなって御利益が浅くない」と定め、村の和を重んじている。平成四年(一九九二)小島区ではお柱祭りに合わせ、希望者を募ってお伊勢参りをした。