四 長沼の石造文化財

631 ~ 631

 『長野市の石造文化財』には、長沼地区の石造物一五七基が記録されている。

 年銘のあるものは一二六基で、すべて江戸時代の造立(ぞうりゅう)である。

 年銘の最古は慶安(けいあん)三年(一六五〇)で、つぎの四基である。大町林光院境内・長沼神社境内・穂保吉祥庵南の庚申塔(こうしんとう)三基と、もう一基は穂保千曲川上手下の石祠(いしほこら)(天王社)である。これは長沼佐久間時代(一六一六~八八)の造立である。今でも長沼の人たちは城跡を「天王さん」と呼んでいる。

 庚申塔は全部で一二基、大町・穂保・津野・長沼の各集落にあり、庚申信仰の盛行を物語っている。

 いちばん多いのは地蔵菩薩像(じぞうぼさつぞう)で二六基あり、庶民のあいだに深くとけこみ親しまれてきている。つぎに多いのは六地蔵二四基で、大町に一二基、赤沼に一二基ある。十王像は赤沼地蔵堂内に一二基あり、津野玅笑寺の十王像は各地の十王像のなかでも、とくに地方色豊かであるといわれている。


写真3 十王像(玅笑寺)