小市(こいち)の志奈埜市(しなのいち)神社の境内にある三社権現は以前は権現沢にあった。通称戸隠さんと呼ばれ、三体の木造のご神体が祭られている。近在に知られた雨乞いの神で、日照りがつづくと近村からも「小市で雨乞いを頼む」という声が出てくるという。雨乞いの神事は、若者連が中心になっておこなわれる。若者の一人がいちばん大きな神像をさらしでくるみ、犀川まで背負っていって川へ入ると、若者たちは「雨さっさと降らせたまえ」と繰りかえし、神像に激しく水をかける。干ばつに弱い安茂里地区の立地条件から生まれた信仰で、古くからの戸隠山との関係もしのぼせる神事である。