安茂里地区は近世末から杏(あんず)の里として知られており、とくに正覚院の窪寺(くぼでら)観音の縁日は花見の人々でにぎわった。戦後の昭和二十三年、杏の絵を描いて展覧する第一回パレット祭が、安茂里小学校の講堂を会場にして開かれた。村内の有志によって企画され、「うちひしがれた人々の心身にうるおいを与える」ことを趣旨とし、花の里に文化を育てるためのものであった。石井柏亭・町田曲江ら有名画家の協力も得て、一時は県や市も後援し、長野駅前に歓迎のアーチを立てるほどであったが、平成四年(一九九二)、発足当時の目的が達成されたとして、第四五回でその幕を閉じた。