一 立地

754 ~ 755

 長野市の最高地点は標高一九一七・四メートルの飯綱(古くはすべて飯縄(いいづな)と書いたが、本章では特別な場合を除いて飯綱とする)山頂である。芋井(いもい)地区はそこを扇の要(かなめ)にして南向きに半開きにした形をしている。市の西北部に位置し、北と西は飯綱山の尾根で上水内(かみみのち)郡戸隠村・牟礼(むれ)村に接し、南は裾花(すそばな)川をへだてて、小田切地区と対する。東西七・五キロメートル、南北七キロメートル。面積は三二・六二平方キロメートルで、市内旧市町村のなかでは保科(ほしな)についで広い。飯綱山頂から裾花川まで標高差は約千六百メートルと大きく、山岳・高原・傾斜地・峡谷と変化に富んだ地形である。飯綱山麓(さんろく)の数ヵ所から湧(わ)き出た水は小川となって沢をつくり、地域を分け、いくつかの滝になって裾花川に注いでいる。

 北部は飯綱山麓の高原地帯で湖沼が点在し、スキー場・ゴルフ場・別荘地・ペンションなどを中心として観光開発が進み、また、戦後の開拓による高原野菜の栽培も盛んである。南部は裾花川にいたる南面の傾斜地帯で、古くからの集落は、標高約六百~九百メートル前後の地域に散在する。地域が広いうえに沢によってへだてられているため、農協もかつては地区外の西長野に置かれたこともあり、小中学校の通学区は委託を含めて四校におよんでいる。裾花川には裾花ダムがある。農業地帯であったが、近年は住宅団地もでき、長野市街地への通勤者が増加している。


写真1 散在する集落

 地区の北部を善光寺と戸隠を結ぶ古くからの戸隠参道が通っていたが、昭和三十九年(一九六四)に戸隠有料道路(通称バードライン)が開通した(平成九年・一九九七無料化)。中央部を県道長野-戸隠線が貫通し、南端を裾花川沿いに国道四〇六号が走っている。