二 寺院

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 方広院 曹洞宗 下犬飼 ①本尊 釈迦如来(しゃかにょらい) ②山号 常田山 ③由緒 入山村の常田九郎右衛門の開基。上松の昌禅寺末。開山は実山大亮。本堂は先年焼失した。境内には筆をかたどった筆塚のほか石造物が多い。

 摂取寺 浄土宗 影山 ①本尊 阿弥陀如来(あみだにょらい) ②山号 阿弥陀院 ③由緒 宝永(ほうえい)二年(一七〇五)小林仁左衛門が地蔵堂を建て、寛延(かんえん)二年(一七四九)善光寺西町にあった摂取寺の寺名を移した。開山は常誉単信、知恩院末。明治十五年(一八八二)にはここに入山学校が置かれた。昭和三十二年(一九五七)に全焼し、現在は地区の公民館のなかにある。

 観音寺 浄土宗 岩戸 ①本尊 阿弥陀如来 ②山号 岩戸山 ③由緒 もと天台宗で戸隠三千坊の一つだったという。天正(てんしょう)五年(一五七七)開山応誉順道が浄土宗に改宗して知恩院の末寺となった。熊野権現(元葛山(かつらやま)落合神社)の神宮寺だったとも伝えている。

 松参寺 曹洞宗 広瀬 ①本尊 釈迦如来 ②山号 柴宮山 ③由緒 寺伝によると古くは真言宗で、戸隠瑠璃光寺(るりこうじ)の末寺であったという。寛永(かんえい)十年(一六三三)に性乗寺五世が曹洞宗に改めた。明治十八年からは芋井学校の広瀬分教場として使用された。松代長国寺千丈実巌の聯(れん)がある。平成元年(一九八九)葛山戦没者供養塔が建てられた。

 法学寺 浄土宗 上ヶ屋 ①本尊 阿弥陀如来 ②山号 中沢山 ③由緒 元和(げんな)二年(一六一六)上ヶ屋村の中沢氏が開基として創建、開山は還痴。横棚の静松寺末。明治七年(一八七四)允升(いんしょう)学校がここで開校した。隠れ滝不動尊の別当寺である。地区では唯一住職が在住する寺で、宗派にかかわりなく、上ヶ屋地区および門沢区のほとんどが信徒である。

 本地院 曹洞宗 荒安 ①本尊 地蔵菩薩(ぼさつ) ②山号 なし ③由緒 応永(おうえい)二年(一三九五)伊藤豊前守(ぶぜんのかみ)忠縄の子次郎盛縄の開基で、はじめ天台宗であったが、のち曹洞宗に改め、昌禅寺五世天海が開山となった。旧本尊地蔵菩薩は飯綱明神の本地仏で、以前は紫金(しこん)仏と呼ぶ「応安(おうあん)二年八月二十二日」の銘のある銅造地蔵菩薩像を伝えていたが、現在は戸隠公明院に移っている。現在寺堂はない。

 地蔵寺 曹洞宗 鑪(たたら) ①本尊 釈迦如来 ②山号 牛頭山 ③由緒 牢水三年に、昌禅寺九世法岩祖全が創建した。境内には永享(えいきょう)銘の観音像など古い石仏がある。


写真6 永享銘のある石仏(地蔵寺)

 隠れ滝不動 広瀬・長峰 ①本尊 不動尊 ②山号 長峰山明王閣 ③由緒 飯綱山麓(さんろく)から流れ出した達橋(たっぱし)沢にかかる隠れ滝に祭る。以前からあった不動尊の石像が洪水のために流失したので、扇平(おおぎひら)の地蔵堂の堂守であった木堂大達が発起人となって諸方を勧進(かんじん)し、明治三十五年に堂宇を新築し、本尊を安置した。本尊の不動尊は高さ四・五五メートル、木造の大きなものである。昭和二十八年の改修を機に不動講ができた。堂前の隠れ滝は、高さ四五メートル、幅四・五メートルで、林間の谷間にある景勝の地である。


写真9 隠れ滝と不動堂