戸隠参道

782 ~ 783

善光寺から七曲がりを上り、荒安・入坂(にゅうざか)・麓原(ふもとばら)を通って一ノ鳥居へ抜ける道は、戸隠神社の表参道である。江戸時代には、善光寺参りとあわせて戸隠へ参詣する人びとが増えてにぎわい、文人たちの紀行文も少なくない。荒安の茶屋では名物の「荒安団子(だんご)」を売っていた。のちには大座法師池のほとりにも茶屋ができた。飯綱山麓(さんろく)の尾根には、戸隠神社の一ノ鳥居が建っており、ここからは戸隠の連山が望まれ、西方下には大久保の茶屋がある。鳥居はかつては石造りであったが、弘化(こうか)の地震で倒れ、その後木造にかえられたが、それも倒れてしまった。沿道には道しるべのほか馬頭観音・道祖神などの石造物が多く、一ノ鳥居からは一丁ごとに丁石が建てられていた。昭和のはじめには一時路線バスがこの道を走ったこともある。バスは戦後も大座法師池まで運行されたが、バードラインの開通とともに旧道はさびれた。