森の小内(おうち)神社の東約五十メートルほどのところにある。現今、森組の東に小名、小柳(おやなぎ)の地があるが、綿内井上氏の館跡と伝えられている。館跡は東西約百二十五メートル・南北約百三十メートルほどある。綿内井上氏は小柳井上・亘里(わたり)井上とも呼ぶ。付近に館の塵埃(じんあい)を捨てたと伝えられる「芥捨場(ごみすてば)」の小名や、「化粧堰(せぎ)」と呼ぶ用水堰もある。この堰水の灌漑(かんがい)する田地より上がる年貢を、化粧料にしたところから出た堰名と伝えられている。またまわりが蓮田であった時代、蓮根を掘り取ったさい館の石垣に使ったと思われる石が出土したという。