鮭の養殖

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綿内清水の東勝寺背後にそびえる妙徳山を水源とした伏流水が、山新田の崖錐(がいすい)部で湧出する。この湧水を地元では東勝寺池と呼んでいる。この豊富な湧水を利用して明治十二年(一八七九)、長野県は東勝寺池に鮭(さけ)の養魚場を設置した。同年十月から鮭の人工ふ化か始まり、翌十三年親鮭から採卵した四五万粒の卵をふ化させ、野尻湖養魚場や天竜川養魚場をはじめ、遠くは埼玉県川越の白子(しらこ)養魚場まで送られた。

 昭和五十六年(一九八一)より平成八年(一九九六)三月までおこなわれた綿内小学校の鮭の稚魚の放流は、東勝寺池が鮭の養魚場であったので、郷土学習の一環として取りくんできたものである。


写真7 鮭の人工ふ化養殖がおこなわれた東勝寺湧水 (『若穂の文化財』)