健御名方(たけみなかた)命を祭る町川田神社では、江戸時代から御柱祭が七年ごとにおこなわれてきた。奉納する御柱は二本、いずれも太さ三〇センチメートル・長さ二〇メートルほどの杉の大木である。氏子数十名で切り出し、町通り中央(問屋)前に注連縄(しめなわ)を飾って安置し、祭りの当日を待つ。
御柱行列は大幣を奉持する町川田の上組・下組二人の御柱宿主(やどぬし)を先頭に、そろいのはっぴにねじり鉢巻(はちま)きの若者連が、勇壮な木遣(きやり)音頭を唄いながら町通りをひいて行く。御供餅(ごくもち)を振りまく御供俵(ごくだわら)や富札(とみふだ)を舞わす富(とみ)の山車(だし)があとにつづき、笛や太鼓の道中囃子(どうちゅうばやし)大神楽が天下泰平・五穀豊穣(ほうじょう)を奏して神社に到着する。二本の御柱を社前に建て、祭事・直会(なおらい)の儀をもって祭りは終わる(『若穂の民俗』)。