五 保科地区の石造文化財

939 ~ 940

 『長野市の石造文化財』第三集によると、保科地区の石造文化財は、町滝崎にある市指定文化財の道祖神碑をはじめ一八〇基ほど記載されている。主なものは道祖神(二八基)・馬頭観音(二五基)・石灯籠(どうろう)(二〇基)・庚申塔(こうしんとう)(一五基)・地蔵菩薩(一〇基)である。道祖神は二二基の男神・女神の祝言・握手・抱擁した双体道祖神が訪れる人の目を楽しませてくれる。陰陽石の道祖神もある。また、「左ハせん光寺みち・右ハまつしろみち」などと道標を兼ねた馬頭観音(日向休場(ひなたやすば)や町滝崎)・二十三夜塔(高岡・赤野田)・念仏塔(矢原)は行路者への村人の愛情をしのばせてくれる。

 市内でも分布の少ない自然石に刻まれた木花咲耶姫(このはなさくやひめ)(赤野田神社境内)・諄盛(あつもり)大明神(矢原)の石塔や、地震の神の石祠(いしぼこら)(矢原公民館庭)がある。また高岡には「雨乞い地蔵」と呼ばれる石仏が仙仁峠(せにとうげ)の頂に祀(まつ)られており、干ばつに苦しんだ村人の敬虔(けいけん)な祈りを今に伝えている。


写真4 町滝崎の双体道祖神(市文化財) (若穂公民館提供)