農業の現状

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養蚕の衰退とともにりんごを中心とした果樹の栽培が盛んになったが、川田・綿内地区のような果樹への切り替えは進まなかった。これは保科地区が、傾斜角七度以上の畑地が七割、一五度以上の急傾斜畑が一〇〇ヘクタールもある悪条件と、山つづきのため幼木時の兎害や虫害を受けやすいことがりんご導入を遅らせた。昭和三十三年りんごの畑地作付け率は保科二二パーセント(六三ヘクタール)に対し、栽培条件のよい綿内は八一パーセント(二五七ヘクタール)、川田は五〇パーセント(九六ヘクタール)であることでも知ることができよう。その後、りんご・ぶどう・桃などの園地は増加したものの、同五十三年九五ヘクタール、平成六年(一九九四)一〇二ヘクタールと停滞している(「市統計書」)。また、多くの農家は、米をはじめとする農産物の輸入自由化による価格の低迷、高齢化、後継者難に苦しんでいる。これに加えて、山つづきの保科地区では、野性の猿が出没して農作物を食い荒らすなど、猿害がこの地域の農業をよりきびしくさせている。


写真12 赤野田地籍の猿害防除網