平・越・東谷の三集落で、一月十五日に藁(わら)人形また紙人形でどんど焼きがおこなわれている。平では常会長宅で「オンマラサマ」とよぶ藁人形をつくる。ハゼ棒を十文字に組み合わせ、両腕をつけ、頭、指、胴体、両足の順に藁を重ねていく。それに藁でつくった男根を取りつけ、達磨(だるま)を紙で包んでつるす。お札で着物をつくり、髭(ひげ)のある顔を描く。後庵に飾って夕方燃やす。越の第一・第二常会は、公民館の庭で「オスガタ」とよぶ大きな藁人形をつくる。各戸から正月飾りと藁一束以上を集める。なら・くぬぎなど三本と竹を切りだす。竹を心棒にして藁束を巻き、長い両腕で男根を抱きこんだ座像をつくる。御札などで飾り、袖には女陰を描き、家内安全などと描いて飾り、公民館の庭で夕方焼く。越の第三・第四常会の東谷では、「カンタンサン」とよぶ婿と嫁の紙人形を二体つくる。青首大根に目鼻を書いて頭とし、竹を十字に組み、色紙でこしらえた裃(かみしも)と袴(はかま)を着せ、その下に「スカリ」を垂らす。婿は右手に筆、左手に大福帳を、嫁は右手に赤い扇、左手に「スカリ」をもたせる。元太子堂の近くの辻に立つ道祖神の碑を中心に、丸太三本を芯(しん)にして正月飾りや達磨を重ね、「カンタンサン」人形を竹棒に付け立てて焼く。