天平(てんぴょう)十二年(七四〇)ごろ地方の行政単位が郷里制から郷制に改められた。『和名抄(わみょうしょう)』には氷鉋(ひかな)郷がみえる。比加奈(ひかな)の訓がついている。郷域について『大日本地名辞書』は青木島村(青木島町)、笹井村(川中島町)、今里村(同)、稲里村(稲里町)、岡田村(篠ノ井)の範囲としている。岡田村には(共和)と注記されている。これらの諸村は川中島平の北部に位置し、犀川の南岸地である。郷名と同じ上・中・下氷鉋(ひがの)も現存している。上・中・下氷鉋は氷鉋郷のなごりといわれ、氷鉋郷はこの三地区を中心に犀川寄りの地域であると考えられている。