茶臼山動物園南側の山腹には古墳が多くある。『県史考古』(一)によると北石津古墳・南石津古墳・将軍塚古墳・駕籠石(かごいし)古墳などがある。これらは有旅古墳群といわれている。山布施には強清水に八石(はっこく)古墳がある。いずれも円墳で、このうち横穴式石室を備えた古墳は南石津古墳・駕籠石古墳・将軍塚古墳であったという。遺物では八石古墳から管玉(くだたま)・勾玉(まがたま)を採集している。
有旅古墳群のなかで現存している古墳に将軍塚古墳がある(口絵写真「有旅の将軍塚」参照)。地元では「将が塚」と呼んでいる。地形的には段差をたくみに利用して築いている。円墳の大きさは径七・六メートル、高さ四・五メートルの土石混合積みである。横穴は南に口があって両側を石で積み上げ、天井には平たい大きな石が四枚かぶさっている。大きさは県史によれば長さ六・〇六メートル、幅一・三六メートル、高さ一・七二メートルである。『町村誌』では古墳のことを「塚穴(つかあな)」と呼び、この古墳について「天保元年(一八三〇)三月村人がこの穴から人骨とさびた冑(よろい)、折れた太刀(たち)、矢の根をみつけた。しかしたたりを恐れもとのようにして埋めた」とし、また「すぐそばの菰田にも塚穴が二ヵ所あった。先年、村のものが曲玉・管玉をみつけた。今は耕地になっている」と記している。有旅の篠井(ささい)神社には上有旅の土平古墳から出土したという直刀・鉄鏃・土師器・刀子などが所蔵されている。