『和名抄(わみょうしょう)』によると、更級郡には九つの郷があり、その記載順は南の郷から北の郷への順に並んでいるようである。終わりの斗女(とめ)郷・池郷・氷鉋(ひかな)郷はいずれも川中島平に位置しているとされている。その一つ斗女郷の郷域を『日本地理志料』は「会田(あいだ)・横田・篠野井・御幣川(おんべがわ)・高田・二柳(ふたつやなぎ)・有旅・布施」の諸村を指すとし、有旅もふくめている。『信濃地名考』は「いま戸部、冨部に作る」と説いている。『県史』①では、「おそらく斗女郷は富部を本郷とし、長野市川中島町の旧御厨(みくりや)村から西南にかけての地域と考えられている」としている。