信里地区の石造文化財は『長野市の石造文化財』によれば二六五基ある。そのうち多いのは、六地蔵五一、馬頭観世音四七、石祠(せきし)四七、地蔵菩薩二八、石灯龍(とうろう)二七などである。六地蔵や地蔵菩薩は寺院に、石祠や石灯籠は神社に多くみられる。馬頭観世音は篠ノ井地区全体の半数以上が信里にあり、文字碑のほかに一面二手立像もある。青池の「信里村道路元標」そばの馬頭観世音立像は三面六手である。また信里地区のどこの集落にも道祖神や庚申塔(こうしんとう)がみられる。村山には双体道祖神がある。庚申塔では古い青面金剛(しょうめんこんごう)立像に日月二鶏二猿が刻まれたものが各集落にまつられている。珍しい石造物では、下有旅に文久三年(一八六三)建立の高さ一・六七メートルの角柱に碑面いっぱい「大陸天」と刻まれた碑がある。地元では疫病除けの神として、八十八夜に祭りをおこなっていた。戦前までは神楽を出してにぎやかだったという。照泉寺跡の入口には職工組合建設の文字碑「聖徳太子」の巨碑がある。観音堂跡の入口には祠(ほこら)をのせた亀(かめ)の形をした台石がある。
信里地区の石造文化財の造立は、銘のあるものでは近世後期の文化・文政・天保のものが多い。古いものは寛文九年(一六六九)上有旅の照泉寺跡の宝塔型庚申塔である。新しいものでは、昭和六十一年(一九八六)八月に山布施の昭和会が建立した道祖神がある。