内務省堰堤

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信里地区は地すべりや上石流が起きやすい土地である。山布施沢とその支流には土石流を防ぐため、内務省直轄による石積みの堰堤(えんてい)がいたるところにある。工事は明治十七年(一八八四)七月起工、役職工三万三六〇四人、工費七〇五二円を費し、一八〇ヵ所に築堤し同十九年三月ほぼ竣工した。村民はこれによって「水の害を免れ、永く水の利を得る」として喜び、内務省に記念碑の建立を求めた。これにより明治十九年十二月若林に「山布施村砂防工碑記」が建てられた。さらに同二十二年十一月内務省は苗木を植えつけ全部終了したところ、同二十五年の洪水で三〇ヵ所の堰堤が破壌流失、その両山腹に多数の亀裂が生じた。そのため同三十三年ふたたび起工、水路にも石堰堤と付属護岸、根固水叩などの諸工事で、川床を固め山脚を押さえて勾配(こうばい)をゆるやかにして激流の害を防ぐようにした。同三十九年完了した。石積み堰堤の石はほとんど直径三〇センチメートル以上の大きな石で、犀川からそりで引き上げた石であるという。山布施地区では春・秋これらの石積み堰堤にかかる木葉やごみを払い保全につとめたという。平成五年八月若林区では河川整備基金によって「山布施村砂防工碑記」周辺を整備した。


写真10 内務省堰堤