妻女山

308 ~ 308

妻女山(西条山とも書き、また赤坂山ともいう)は、永禄(えいろく)四年(一五六一)の川中島合戦に、上杉謙信が本陣を置いたところとして知られている。『甲陽軍鑑』や『川中島五戦記』などによると、謙信は妻女山から武田信玄の軍勢がたてこもる海津城を見、立ちあがる夕食の炊事の煙の多いのを見て夜襲の計略を見やぶり、静かに雨宮(あめのみや)の渡しを渡り、逆に信玄の本陣を急襲したという。この合戦図は江戸時代には絵図にして売られた。また、天正十年(一五八二)七月には上杉景勝が北条氏直と対戦するためにここに陣をしいた。周辺には、謙信の「槍先の水」「鞍かけの松」と伝えられる場所もある。

 ここからは北の善光寺平一帯の眺望がよく、戦前から川中島古戦場見学のため著名人の来訪が多く、手植えの松などが残り、展望台も設置されている。また、倉科(更埴市)へ通じる「ハイキングコース」も開かれている。