清野地区の特徴的な石造物としては、①千曲川の洪水による被災者の供養塔や水除け祈願の碑、②妻女山周辺一帯の供養塔・文学碑などの石造物群、③各集落の庚申(こうしん)塔・二十三夜塔など民俗信仰にかかわるもの、④灌漑(かんがい)排水記念碑、⑤高源寺などの松代藩関係の石造物があげられる。いずれも地域の歴史を物語っている。妻女山は松代藩の祭事に関係があり、寛保(かんぽう)二年(一七四二)の川流溺死(かわながれできし)者、弘化四年(一八四七)の善光寺地震の被災者、戊辰(ぼしん)戦争戦死者などの供養がここでおこなわれ、関係の石造物が多い。庚申塔は大村の元禄五年(一六九二)のものをはじめ三一を数え、庚申信仰がさかんであったことを示している。林正寺には宝暦の念仏塔があり、風雲庵の延享(えんきょう)銘の地蔵は在銘のものでは松代地区ではもっとも古い。