木町の旧六文銭製糸場あとに長野市松代支所・松代文化ホール、松代商工会議所などがあり、松代地区の中心になっている。殿町には松代藩文化施設管理事務所があり、真田宝物館・新御殿・文武学校など旧藩ゆかりの文化施設を管理している。その大部分は真田家一二代幸治から寄贈されたものである。幸治は大名時代のものだけでなく、明治以後のものもふくめ、一切を松代町に寄付した。旧藩主家の所蔵品がほとんど完全に残っている例は全国的にもまれである。地元の人びとの組織する真田会は、旧藩主家一四代当主を名誉会長とし真田家を慕う人びとの会で、真田関係史跡巡りなどいろいろの活動をしている。明治三年(一八七〇)の松代騒動のあと、長谷川昭道・山寺常山など新政府で期待されていた人材が、地位を捨てて旧藩主の弁護にあたったような暖かい関係が、今も残っている。旧町内には、従業員一〇〇人以上の事業所は一つもない。商店も従業員五〇人以上の中型店は殿町と西木町に一店ずつあるだけである。しかし文化施設や史跡が多く、長野市では伝統環境保護条例をつくってとくに旧松代町の環境保全につとめている。