「東条地区の石造文化財総目録」(『東条のあゆみ』所収)には、昭和六十年(一九八五)調査当時の二九二基の石造物が記載され、『長野県石碑目録』にそのほか四基が記載されている。東条地区の石造物の特徴としては、①総数が多いこと、②庚申塔(こうしんとう)が多く、その建立年が古いこと、③養蚕関係の碑が多いことなどがあげられよう。
種類別にみると、庚申塔六三基、地蔵三三基、観音二九基、六地蔵一八、道祖神一七などで、とくに庚申塔が多く全体の二一・五パーセントを占めているのが注目される。養蚕神・治水碑は、水田耕作や養蚕にたずさわる地域の人びとの願いをあらわしており、「山の神」が多いのも、山地が広く山仕事が多かったことをうかがわせる。庚申塔・道祖神などは各集落に分布しており、清滝・天王山・玉依比売命神社・大日堂などには顕彰碑・文学碑・供養塔などがある。