玉依比売命(たまよりひめのみこと)神社に伝えられる御田祭(おたまつり)・児玉石神事・御判神事の三つは、正月の予祝行事で、いずれも長野市の無形文化財に指定されている・御田祭は一月六日の夜(現在は午後一時)からおこなわれる。三人の作男が田打ち・代かき・田植えの仕ぐさを神前に奉納して豊作を祈念する。
児玉石神事は七日の早朝(現在は午前九時)おこなわれ、古くから神社に伝えられる玉類の数を数え、その増減によって豊凶を占う。石を数えるとき、とくに三つ石は、「一つ天下太平の石、二つ武運長久(または宝祚(ほうそ)延長)の石、三つ氏子繁昌(はんじょう)の石」と唱えて数えるという。
御判神事は、前年甕(かめ)のなかに納めておいた白強飯についた糀(こうじ)の状態によって各種作物の作柄を占うもので「包み換え」ともよばれ、この結果は上・中・下の三段階に分けて記入し氏子に配られる。いずれも古来の方式が厳格に守られており、とくに児玉石神事と御判神事は他に類例のない貴重なものといわれる。