松代町豊栄(とよさか)地区は、長野市の最南端部で、同市内東部を流れる千曲川の右岸にある松代町の南東部に位置する。同地区の南部は松代町西条・小県郡真田町傍陽(そえひ)に、東部は豊栄最高峰の保基谷(ほきや)岳をまたいで長野市若穂保科と小県郡真田町菅平に接し、北方は松代町東条に、西および西南部は同町西条に接する。保基谷岳より北西部に向かって山脈が幾条にも地区の中央部に突出する地帯で、四面が山に囲まれた農村地帯である。豊栄の面積は二一・五八平方キロメートル、その面積の約八〇パーセントは山地である。地区内には、保基谷岳を源とし関屋・平林・宮崎をへて西流する関屋川(蛭(ひる)川)と、東立石山を水源とする東部の牧内集落を流下する藤沢川がある。両川は屋地・西河原で合流し千曲川に入る。諸山脈とのあいたには、扇状地が平地に向かってよく発達している。扇端から湧(わ)きでる水は良質で飲用にも適し、土壌の排水もよい。これらの地域には古墳群が散在しており、古くから人びとの生活があったことが知られる。地区の中央部にある豊栄小学校の標高は四八九メートル、最高は保基谷岳の一五二九メートル、最低は宮崎の三八〇メートルで、その標高差は一一四九メートルとかなりの差がある。
主要道路は、地区内の中央部を県道長野真田線が通る。同線の地区内の経路は、松代・宮崎・平林・関屋・白石をへて新地蔵峠を越え小県郡真田町に通ずる。いっぽう、地区内の東北寄りからの経路は、東寺尾から牧内・桑根井・平林をへて地区内の菖蒲沢(しょうぶざわ)地籍で県道長野真田線に接続する。