四 寺尾の石造文化財

489 ~ 490

 寺尾地区の石造物は、『長野市の石造文化財』・『長野県石碑目録』に計二一四があげられている。種類は、庚申塔(こうしんとう)が三〇、地蔵が四五、観音が二〇、道祖神一〇を数える。分布をみると、北国街道沿いの東寺尾・関崎・高井大室神社・鳥打峠などにまとまってみられるが、庚申塔・道祖神・二十三夜塔などは各集落ごとにある。柴には真田信之の墓や山本勘助の墓がある。筆塚が多いのも特徴で、また戦後の新しい柴・牧島の畑地灌漑(かんがい)記念碑や大室東沖の開田記念碑も地域の土地改良の歴史を物語っている。

 庚申塔は牧島の明暦(めいれき)元年(一六五五)建立の塔がもっとも古く、同二年の愛宕(あたご)神社のものがこれについでいる。いずれも当時の庚申信仰の盛行を物語っている。松代城下境の大石は海津城建築のさい、東山から引いてきたが、ここで動かなくなったという伝承がある。