高井大室神社 大室(おおむろ) ①祭神 健御名方命(たけみなかたのみこと) 八坂刀売命(やさかとめのみこと) ②由緒 大室地区の産土神(うぶすながみ)。古くは伊勢社であったが、嘉永(かえい)四年(一八五一)に社号を改めた。境内には石材の産地にふさわしく、大きな道祖神・高市(たけち)大神・筆塚・招魂碑などがある。道祖神碑は高さ三メートル以上もあり、「平格(佐久間象山)書 時に年十一歳」と刻まれている。高市大神は大正年間までここで開かれていたという市の名残であろう。
名立神社 牧島 ①祭神 建御名方命 建御雷命(たけみかずちのみこと) ②由緒 牧島の産土神。名立神は貞観(じょうがん)七年(八六五)に従五位を授けられている。拝殿の彫刻は精緻(せいち)な彫りで、昭和六十一年(一九八六)の奉納天井絵や俳句の額がある。境内に伊勢社・富士浅間(せんげん)社・秋葉社・天神社・金刀比羅(ことひら)社・可里田(かりた)社・山の神・養蚕神が祭られている。
津島神社 小島田(おしまだ) ①祭神 建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと) ②由緒 小島田区の産土神。慶長九年(一六〇四)に津島神社(愛知県津島市)の御師(おし)堀田馬太夫が当地を巡回したとき分体を奉祀(ほうし)したと伝えられる。境内には金刀毘羅社・八幡社・秋葉社・桜田社・天神社の石祠(いしほこら)のほか山の神・庚申塔(こうしんとう)・蚕神碑などがある。また拝殿には昭和四十三年奉納の俳句額(宮林菫哉(きんさい)撰)・短歌額(中村柊花(しゅうか)撰)や天井絵がある。
柴神社 柴 ①祭神 健御名方命 八坂斗売命(やさかとめのみこと) ②由緒 柴地区の産土神。以前は堀ノ内地籍にあったが、万治(まんじ)元年(一六五八)現在地に移転した。境内に養蚕神・秋葉大神・疱瘡神・水天宮などがある。文化十三年(一八一六)奉納の俳句額があり、宮沢武曰(ぶえつ)・宮本八朗などの名がみえる。鳥居は石造。
中条埴志那神社 東寺尾 ①祭神 健御名方命 八坂刀売命、相殿 素盞嗚命(すさのおのみこと) ②由緒 東寺尾の産土神。寺尾山の南麓(なんろく)、断崖の下にある。古くは寺尾氏が東寺尾の宮屋敷に八幡社と諏訪社を祭ったが、水害のために八幡社は東山へ、諏訪社は中条(ちゅうじょう)(東条地区)へ移した。しかし、神社と村が離れているため、祭礼には年々中条から東寺尾村へ遷座して、神事を執りおこなった。寛政四年(一七九二)に中条埴志那神社の社号が吉田家から允許(いんきょ)された。明治四十二年(一九〇九)に現在地の伊勢社へ合祀(ごうし)した。
愛宕(あたご)社 東寺尾 ①祭神 火出加具土命(かぐつちのみこと) ②由緒 寺尾富士とよばれる城山の中腹にある。海津城の鬼門除けとして信仰され、一石七斗余が除地(じょち)であった。社殿は延享(えんきょう)五年(一七四八)の建立である(「神社明細帳」)。境内には明暦(めいれき)三年(一六五七)の庚申塔や力士君ヶ岳奉納の石灯籠(いしどうろう)のほか古い石造物が多い。天井絵は関愛山の作。明治三十九年当時の風俗をよみこんだめずらしい三十六句の歌仙の額もある。