虫送りは、髓(ずい)虫など稲の害虫を追いはらい、虫害がでないように神にお願いする行事である。上氷鉋地区では、毎年七月二十四日の夜、虫送りがおこなわれた。そのころは二毛作の麦の取り入れもすみ田には青々と稲が成育している。こどもたちは、大麦のメンガラを使って、直径二、三十センチメートル、長さ二メートルほどに束ねたたいまつを作る。暗くなるとそれに火をつけて街道(旧北国街道)を引っぱってとびまわる。砂ほこりと、たいまつの炎と煙がもうもうとたちこめる。夜も遅いころ、虫送りが始まる。提灯をもった区長や氏子(産子)総代などを先頭に、髓虫を入れた紙袋を竹の先にくくりつけたものをかつぐ人や太鼓をドンドンと打ちならす人などの行列がすすむ。村境(新田北)に着くと、たいまつを集めて袋のなかの虫を焼き殺す。
現在も虫送りはおこなわれているが、竹につけた袋(虫)を村境(中氷鉋境)で焼くくらいとなった。