古宿地区では、江戸時代から毎年十月から四月のあいだに、村の主婦全員が集まって「念仏講」をおこなっている。愛宕(あたご)堂の「愛宕将軍地蔵尊」の前で、月に一回、月末の日曜日の午後一時ごろから始める。当番は諸準備をし、みなで地蔵尊に礼拝し、当番の一声で念仏講が始まる。
鐘をたたき、「南無阿弥陀仏」をとなえ、大数珠(おおじゅず)を無心に回し、念ずることは家内安全・豊作祈願にとどまらない。みな気持ちがすっきりしてくるという。十数分で念仏講を納め、庫裏に席を移して、各自の重箱をひろげ、歓談にひとときを過ごす。四月には各戸の夫婦が出て、寺からもきて愛宕祭りをおこない、紅白の吹き流しが立てられる。