土間は建坪の三割ほどを占めている。このことからわかるように、農業を中心としていた生活のなかでは重要な空間であった。雨の日の脱穀、調整などの作業場であったほか、藁(わら)仕事や粉ひきをおこない、馬もその一部で飼って、前述のようにふろの水とまぜて堆肥(たいひ)を作り、夏場は蚕の飼育場ともなった。しかし、農作業そのものの変化と生活の改善によって、土間は母屋のなかではもっとも多く改造の手が入ったところでもあった。現在ではほとんど板張りになっており、応接室やこどもの勉強部屋などに変わっている。最近では土を突き固めた土間を見ることはできなくなっている。五十平では昭和十年ころまで、正月のもぐら追いの行事では木をたたいたり、桶(おけ)をこすったり、杵で家の土間から庭先をたたいて歩いたりして、もぐらを追っていた。