ここも家族がふだん使う部屋で、食事はお勝手で作りそこでとるというところが多い。女衆が忙しく立ち働く場でもあった。箱膳もここの棚に収めてあって、食事のときに各自が取りだして使ったものである。茶の間で食事をとるときには、ややあらたまったという印象がある。冠婚葬祭にはお勝手だけでは狭いので、土間に(あるいは小部屋まで)ネコを敷いて七輪などを置いて調理していた。そのため客は縁側から直接家に入ったともいわれる。内部を改装した家では、お勝手に机といすを置いて食事をするようにしたところもある。
ここには火の神として荒神や秋葉社、水の神として天水分神(あまのみくまりのかみ)、食物の神としてカマガミサマや保食神(うけもちのかみ)、作神として田の神、招福の神としてえびす・大黒やダルマのほか、三峯(みつみね)社や天神をまつっている。古森沢ではお勝手に囲炉裏があれば、自在鉤(じざいかぎ)に注連縄(しめなわ)を張っていたが、現在は自在鉤がなくなっているので近くの柱に張るようになっている。