出産の場所は若夫婦が寝室に使っていた部屋で畳をあげておこなっていたが、産婆さんを頼むようになってから座敷のような明るい部屋も使うようになった。昭和三十年ころからは病院で出産するようになって、誕生の場としての役割はなくなった。人が亡くなると納棺のあと座敷の祭壇に安置されるのがふつうである。そこには床の間があり仏壇も置かれる空間であり、弔問(ちょうもん)の客にたいして開かれた空間である。ところが尋常な死に方をしなかった場合には、それとは異なる処置がなされることがある。南長池では川で変死したような場合には、土間や軒先にこもを敷いて、その上に死体を安置しござなどをかけておき、そこで納棺した。