それぞれの季節の食材を使いながら作るおかずと漬物は、食卓に変化をもたらす。冬場は野沢菜・白菜・大根・ごほう・にんじんを中心に塩漬けや味噌漬け、糠(ぬか)漬けをたくさん作る。野沢菜は霜にあててから収穫すると茎がやわらかくなるとか、アクが抜けてぬめりが出ておいしくなるとかいう。畑から取ってきたら、少ししんなりとするまで干してから水洗いする。これを順番に桶(おけ)の底から塩をふりながら並べて詰めていき、ところどころに唐辛子(とうがらし)などを差しこんでいく。詰め終えたらその上から蓋(ふた)をかぶせおもしをすると一週間ほどでオハヅケができあがる。春から秋にかけては、かぶ・たけのこ・ふき・梅・わらび・大根葉・しそ・きのこを塩漬けにし、しその実のほかにかぶ・みょうが・せり・わさび・昆布などを味噌漬けにする。味噌漬けは春に味噌を仕込むときにいっしょに漬けこんでしまう。塩漬けにしておいた野菜を水洗いしてから水気をよくきって、味噌桶の中に味噌とともに詰めるが、野菜を入れすぎると味噌がおいしくなくなってしまう。味噌漬けとともに一年中食べられるように梅漬けも作る。これはとりたての梅を洗って水切りし、鉢の中で転がしながら塩をすりこむ。梅一升に四合前後の塩と塩もみした赤じその葉を梅とともにかめの中に詰めて漬けこむ。また、なすやきゅうり・白瓜(しろうり)などの瓜類は塩漬けや味噌漬け以外に粕(かす)漬けにもする。このほかに自家製のみょうがの粕漬けやなすの辛子漬け、らっきょうの酢漬けも食卓をにぎやかなものにする。