間食

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食事は、朝・昼・晩の三食以外にさまざまな形で間食をとる。ことに日が長く農作業の時間も長い夏には食事回数が七回になることもある。三食以外に、アサチャ・アサヅケなどとよばれる朝食前の食事や、コビレ・オコビレ・オコビル・コビレチャ・オヤツなどという昼前や昼過ぎの食事、ヤショクとよばれる夕食後の食事がある。

 田植えのときには、現在は市販の菓子やパン、赤飯、むすび、まんじゅう、牛乳などを飲み食いすることが多いが、昔はウスヤキ、センベエ、ヤキモチ(オヤキ)、アラレ、ボタモチや鰊(にしん)の昆布巻、さつまいもを出したりした。

 ウスヤキとセンベエの相違は、地域的あるいは個人的にいくぶんかの違いが見受けられる。犬石では水でゆるめに溶いた小麦粉を油を引いたほうろくに流して焼いたものをウスヤキとよび、これに味噌や砂糖・すりごまのタレをつけて食べる。センベエはほうろくに流した小麦粉液になすかにらの油味噌をのせ、上に小麦粉液をかけて裏返して挟み焼きにしたものである。芋井では具を入れず小さめに薄く焼いたものをウスヤキ、具を入れて大きく厚めに焼いたものをセンベエという。七二会では小さく焼いたものをウスヤキ、大きく焼いたものをセンベエとよぶ。また、松代のある家庭では、挟み焼きにしたものをウスヤキ、具を刻みこんだものをセンベエとよんでいる。

 秋の刈り入れのときには季節の味覚である柿やりんご、さつまいもの煮物や煮豆、妙(い)り豆なども出した。犬石では、蒸したさつまいもを適当な大きさに切り、蚕用のかごに並べて干しイモボシを作ったり、皮をむいた柿をつるして干すカキボシ、青い渋柿に塩入りの熱湯をかけて漬けておくツケガキを作った。

 このほかに麦や大豆・小豆・とうもろこし・えんどうを妙り石臼でひいてコウセンを作り、砂糖、塩を加えてなめたり、水や湯に溶いて食べたりした。大豆で作ったきなこは御飯にかけたり、むすびにまぶしたりした。戦前には御飯を干したものをオミタマとかホシイイとかといい、妙って黒砂糖などで味付けして食べた。


写真1-20 農作業を一休みしてとるコビレ (安茂里 昭和32年)