犬石では八月一日のうら盆には地獄の釜(かま)の蓋(ふた)が開き、仏が石の戸にヤキモチを投げつけて開けて出てくるので、できるだけ固めのヤキモチを作るようにといわれている。稲里ではこの前日にヤキモチをもって善光寺へ行き、夜明かしのお籠(こ)もりをしていた。迎え盆には、なす・ささげ・さつまいも・しそなどでテンプラやウズマキカリントウを揚げ、果物やそうめん、牛馬の形をしたなすときゅうりとともに盆棚に供え、白い御飯も炊く。十四日の朝はヤキモチ、十五日の朝はお赤飯を供える。そして十六日の送り盆には、仏が帰って行くときの土産(みやげ)として、ほうろくでウスヤキを焼いたりヤキモチを作ったりする。七二会では、十六日に団子を作って供え、すべての供え物を新聞紙に包んで墓へもっていった。