立春から数えて二一〇日目の二百十日の風祭りには、稲里ではヤキモチを、七二会(なにあい)では赤飯を食べた。旧暦の八月十五日は中秋の名月で、犬石ではおはぎ(ぼだ餅(もち))やヤキモチを作り、大根とともにお月様に供える。稲里ではすすきとともに月見団子を供えた。この日ばかりはこどもたちはよその家のおはぎを盗んでもよいとされた。九月末の秋祭りには秋なすをあんにしたヤキモチを作ったり、餅をついたり、くりを入れたお赤飯を炊いたりする。また、掘ったばかりの里芋を煮つけて出す。
旧暦九月十三日の十三夜にはぼた餅を作り、大根とともにお月様に供える。また、旧暦十月十日のトオカンヤ(十日夜)には、犬石ではふろふき大根を作って食べた。また、稲里ではぼた餅を作って神仏に供えた。
十一月二十日のえびす講には尾頭つきのさんま、大根、白米をえびす様に供えて、夕食に食べた。このときにトロロイモを御飯にかけて食べることもある。