市と夜店

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市は期日と場所を定めて物品を販売することをいう。長野市内でよく知られているのは、盆の花市である。八月十二日はお花市で、もともと善光寺の参道であった中央通りに店が並ぶ。昔は盆花のほかにすいか・野菜なども売っていたが、今では盆花が中心になった。花の種類は昔は、ききょう・みそはぎなどであったが、今はトルコぎきょうなど新しい花も売られている。お花市では笹の葉も売っている。これは、仏様に供えるオヤキに巻くためのものである。そのほかにも、松代・篠ノ井など多くの場所で八月十二日には花市がたつ。

 市よりも常設の店に近いものに、夜店がある。これは、夏から秋にかけて場所を決めて夜間だけ店が開かれるもので、多くが野菜の販売だった。盆の前後に、中央通りに夜店ができ、在のほうから農産物をもってきて売った。今も真島方面の農家の人たちが、農商ユニオンという組織を作り、毎月曜日の午後には表参道の前、毎木曜の午後には権堂の秋葉神社の前に店を出し、野菜をもってきて売っている。吉田でも八月一日から十二日ごろまで夜市が開かれ、日常生活用品や家具、お盆用品などを売った。松代町中町では、七月から八月にかけて、広場に夜店ができて野菜を売った。また、赤沼では秋の月夜のころ、村の四ツ辻、神社の近くの広い場所、公会堂の前などで店を開き、瀬戸物や乾物などを売った。


写真1-36 盆の花市(長野中央通り 平成8年)