田のあり方

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里は、善光寺平とよぶように、山にくらべると傾斜のない平坦(へいたん)な土地である。しかし、耕地整理以前においては、一見平坦に見える水田地帯も、隣り合った水田はほとんどの場合段差ができており、また大きさや形もまちまちであった。総じて水田一枚当たりの面積は小さく、なかには畳一枚分(半坪、約一・六五平方メートル)ほどの面積しかない田まで存在した。

 各農家では、そうした小面積の田を何ヵ所かに分散して所有するというのが基本的な姿であった。そのため、かつて農家の人びとは何ヵ所にも分散した水田を一枚一枚まわっては、田植えや稲刈りといった農作業をおこなわなくてはならなかった。