乾田と湿田

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基本的に里の水田は乾田が多い。また、砂地の田では水もちの悪い田もあり、ミズカケに苦労する田もあった。こうした田ではときとして水の奪いあいも起こった。

 しかし、かつては湿田がほとんどの耕地に存在した。とくに山際や川沿いに多く分布した。湿田のことを一般にはヒドロ・ヒドロタ・ヒドロッタとよぶ。また、ドブタ・ドブッタ・ドロッタなどともいった。とくに股(また)のあたりまで潜ってしまうような深い湿田を松代町ではヌマタとよぶこともあった。また、篠ノ井ではイケダとよぶ田はいつも水につかっており、カモなど水鳥が泳いでいた。

 こうした湿田では二毛作をおこなうことができず、米のみの一毛作であった。