アゼヌリが終わってアゼツチが固まると、田に水をためることができるようになる。そうすると、田に水を入れシロカキをおこなう。シロカキをタアカキともよぶ。一般にタアカキは二回おこなわれる。一回目のタアカキをアラクレといい、二回目をナカシロという。さらにていねいな人は植える直前に三回目のタアカキであるウワシロをおこなった。このうち田植えまでの作業で水をもっとも必要とするのがアラクレである。
田植え日を基準にして、そこから逆算してタアカキをおこなう日を決めた。アゼヌリのあと、七~一〇日してまずアラクレをおこない、その二、三日後にナカシロをおこなう。そして、その二、三日後に田植えとなるようにする。
タアカキは、アラクレ・ナカシロとも、それぞれ縦横に一回ずつマンガ(馬鍬)で掻(か)く必要がある。このように縦横一回ずつ、しかも、それを二度にわたっておこなわなくてはならなかったのは、土をよりこまかくするためと、田の保水力を増すためである。
タアカキにはほとんどの場合畜力を用いた。牛馬にマンガを引かせておこなうものである。この点についてはタアブチ同様、西山をはじめとする山手の人をタアカキに頼んでおこなうことが多かった。