若者仲間を退会したものたちが作る仲間として壮年仲間がある。これは壮年団・壮年会などとよんだりしたが、三水では中年会とよんだ。まさに中年の男性がその中心になるものであり、長谷では二〇歳から四五歳まで、吉では二五歳から四〇歳まで、古森沢では三〇歳以上、入組では三〇歳から五〇歳まで、中川では三五歳以上、岡田では三五歳から六〇歳までなどとなっている。
しかし、これらはほとんど戦時中にできたもので、長谷・柴などでは翼賛(よくさん)壮年団といい、昭和十六年(一九四一)につくられ、大政翼賛推進運動をするものであった。そこでは金属回収、米麦供出の推進、食糧増産、勤労奉仕などをしたという。年齢集団ではあるが、それは政治的に作りだされたものという性格が強いものであった。
しかし、桜枝町では憲政会系の集団で妻帯者が希望して加入し、新年会や忘年会をする仲間であったといい、三水の中年会は親睦の団体であったといい、異なった成立過程をもっているが、いずれも伝承性の希薄なものである。それだけに地域社会における位置づけも、こども仲間・若者仲間とは違い、かなり行政的・政治的色彩の濃いものであった。
また年齢をほぼ同じくする男性たちで作る消防組織も各地にあり、消防団などとよばれた。その役割は火災のさいの消火作業だけではなく防災作業全般にわたるものであり、若者仲間の組織と一部重なりながらも、長男によって組織されるところが多かった。岩野における区消防は、若者組をしりぞいた三五歳以上の男子によって構成され、災害防止、火災・水害対策などをしたという。