老人仲間は前述したような男女別組織の傾向の強かった年齢集団と異なり、男女が同じ組織として結成されることが多い。六〇歳ないし六五歳以上の男女が、老人会・老人クラブなどという組織に加入するのである。北屋島などではもっと端的に年寄会とよんだし、栗田では長寿会とよぶ。桜枝町では寿会、戸部では敬老会などとよぶが、いずれも老人のありようを示す名称であるといえる。
この仲間では、道路や神社・集会所の清掃などの奉仕活動をおこなうところもあるが、多くは盆栽の鑑賞や旅行、あるいはゲートボールなど趣味にかかわる活動を中心にしている。そこにみられるのは、地域社会にたいする活動よりは、個人の生き甲斐や楽しみを求めておこなわれる活動である。地域社会において十分その役割を果たしおえた老人たちが、初めて自分たちのためにおこなう活動といってもよい。激しい社会の変化のなかでこの活動をいかに展開していくかは、豊かな人生を送るために重要なこととなってきている。