地域ごとに身近な神仏をまつる講には、さまざまなものがある。東横田や入組では、皆神山(みなみかみやま)(松代町)にまつられている皆神神社を対象とする皆神講をするし、十二(じゅうに)(篠ノ井有旅(うたび))では東筑摩郡麻績(おみ)村の聖(ひじり)権現をまつる講がある。岡田には観照寺の大日如来をまつる講があり、妻科の善松寺には旧長野市域の女年寄りが、毎月十八日に集まっておこなう淡島講がある。南長池には地蔵講があって、地蔵堂に集まって大数珠を回して念仏会(え)をおこなう。
また、赤柴には虫歌観音をまつる観音講があるし、松岡(大豆島(まめじま))には東筑摩郡坂井村の修那羅(しょなら)へ行く修那羅講がある。南長池には西厳(さいごん)寺(長沼)の講があり、古森沢には花井神社(篠ノ井中尾山)の講があり、岩野には象山神社(松代町)の講があったという。横沢町の氏神、八幡神社の境内にある青麻(あおそ)社は、中風よけの神として信仰されているが、この神を対象とする青麻講もある。
このような講はまだまだ各地にたくさんあるが、地域的にはかなり広い範囲におよぶものも、比較的狭い範囲のものもある。また、期間的にも比較的長く継続するものもあるが、短期間でいつのまにか消滅してしまうものもある。信仰集団としてだけではなく、人びとの交流の場としても多様な姿をみることができる。