はじめに

202 ~ 202

 一年のなかで一定の日に毎年繰り返しておこなわれる行事や祭事を年中行事という。日々繰り返される生活のなかにも、人びとは自然の変化と時の流れを敏感に感じとりながら、これらの行事を大切に執りおこなってきた。そのようななかで、仕事に取り組むふだんの日とそれとは異なる特別な日との繰り返しによって、生活のなかに節目やリズムをつくりだしてきたのである。とりわけ、善光寺平の村々では、古くから稲作や麦作が大切な生業であったことから、農作業と関連の深い行事が多く、作物の豊作を願う春の予祝行事や、その年の豊作に感謝する秋の収穫行事は重要なものとして受けとめられてきた。

 この節では、正月の準備に始まる暮れの大掃除から元旦(がんたん)、小正月(こしょうがつ)の行事、節供(せっく)、盆行事、月見の祭りなどを季節を追ってまとめた。とくに、小正月のドンドヤキは市域内でも場所によっていくつか特色のあるものがみられるし、盆行事も善光寺との関係がみられるが、それらの詳細は第二部でみることとする。