年も押しせまった十二月下旬、各家では一年間の汚れを落とし、新しく迎える正月のための準備にとりかかる。
暮れの大掃除はすす掃きとかすす払いとかとよんで三十日か三十一日におこなう家が多いが、なかには二十八日から三十日ころのあいたに実施するというところもあるし、餅(もち)つき前の二十五日ころにはやってしまうというところもある。すす払いなどの外回りの大掃除はおもに男がやることが多く、草ぼうきを使った。それにつづいて神棚、仏壇、家のなかの順に掃除をしたものであるが、笹の葉を束ねたものをさおの先につけてすす掃きをしたところもある。広瀬(芋井)ではこのほうきをすす男とよび、節分までは残しておく。いっぽうすす掃きのさいに主婦は、一年間使ってきた勝手道具の掃除に追われる。小川の水などを使い、苦労して釜(かま)や鍋(なべ)のすす取りをしたものであった。