年神様をまつる年神棚は、暮れの二十八日ころから作りはじめる。しかし、多くのところでは三十一日に作り、正月十五日に下ろす場合が多い。
年神様は、茶の間などの天井に年神棚をつるして特別にまつるところも多かった。戸部(川中島町)では毎年新調した松の一枚板を天井からつるして年神棚を作り、その両側には松飾りを立てたというし、灰原では大黒柱のそばへ板を縄でつるして棚を作り、前側に半分だけ垂れるように新しい白紙を敷いて年神棚とした。この棚には松と注連(しめ)飾りをつけ、中央に氏神様のお札や歳徳神などと書いた年神様のお札をまつり、飾り餅やみかん、神酒、米などもいっしょに供える。ところによっては仕事をかき繰りまわすようにと柿(かき)と栗(くり)を供えたり、汁物や煮物、菓子や花などを供えたりもする。長谷(篠ノ井塩崎)では年神棚を昭和四十年ころまでまつっていたというが、こどもたちは背が伸びるようにと、この棚に年の数だけ飛び上がったものだという。
年神様をまつる場所は、このように毎年新しく作られた年神棚を利用するやり方のほかに、すでにある備え付けの神棚や床の間を使ってまつることも多い。ふだんから氏神をまつっている茶の間などの神棚へ松飾りや供え物をして年神様を迎えたり、床の間に年神様の掛け軸を飾って鏡餅やお神酒(みき)を供えてまつる場合も多くみられる。