五月八日はお八日(ようか)とか花祭りなどとよばれるお釈迦(しゃか)様の祭りの日である。オシャカサンノヒ、ゴガツヨウカなどともいい、村の寺や堂にまつってあるお釈迦様にお参りをし、甘茶を飲む。旧暦では四月八日で、現在も四月八日にするところもあるが、多くは五月八日にする。岩野では昭和四十年(一九六五)ころまで、清水堂、地蔵堂のお釈迦様の像に甘茶をかけ、そのあとみなで甘茶を飲んだ。またお釈迦様のうしろには極楽と地獄の絵が飾ってあり、こどもたちに見せては説教をしたものだという。この日は善光寺でも祭りがあり、寺の主催で稚児(ちご)行列が出たり庵主(あんじゅ)さんたちが托鉢(たくはつ)をして歩いたりする。栗田では稚児行列の見物がてら善光寺へお参りにいき、お釈迦様の像に甘茶をかけてくるという。
この日は寺で甘茶を作るほかに、家々ではよもぎの草餅を作ったり、ぼた餅、団子、米の粉でヤショウマなどを作って神仏に供える。また、嫁は実家によばれていった。